



―「オクタス」は今期、4期目を迎えますが、
3期目は事務所移転など、大きな動きがありました。
移転自体は3期目の事業でしたが、ショールームのコンセプトはオクタスを立ち上げた当初からありました。このショールームの位置付けは、存在自体がオクタスの「広告」になるような場所。ラジオ・テレビでも広告を展開していますが、大手や地場のハウスメカーカーに比べれば、量は微々たるものです。
ただ、そうした既存の住宅会社の中に、「自分に合った会社・デザインがない」と悩んでいるお客様は意外と多いんです。そこで、お客様の家づくりの選択肢の一つとして「デザイン系注文住宅」というものがあるということを、きちんと消費者に周知していかなければと考えました。オクタスの宣伝ではなく、あくまで「いろんな家づくりのカタチの中に、こういうカテゴリーもありますよ」というご提案。それを具体化したものがオクタスのショールームであり、現在の広告宣伝の展開だと思っています。
―そうした、家づくりにそそぐ情熱が、
オクタスと施主様の結びつきの強さにも
つながっているのかもしれませんね。
私たちと施主様は「住宅会社」と「依頼主」という関係。両者の間には、「家」に関する話しか出ないはずです。ところがオクタスの場合は、施主様が家族旅行の土産話やお子様の成長など、友人や知人同士のように世間話をしてくださいます。住宅会社と施主という関係を超えた結びつきが築けているのも、私たちが進めてきた家づくりが間違っていなかった一つの証だと自負しています。
いつも私たちの家づくりの根底にあるのは、「私たちがお客様を選ぶ」のではなく、「お客様が私たちを選ぶ」ということ。オクタスでは、いわゆる「売り込み」は一切しませんので、ショールームを見に来たり、勉強会に参加してくださったお客様が、別の住宅会社で家を建てても、それで満足のいく住まいが出来ればこれほど嬉しいことはありません。それが、住宅会社の本来あるべき姿だと思います。これからも、それを変わらず発信し続け、私たちを必要としてくださるお客様のために、常に120%のパフォーマンスを発揮出来る会社にしていきたいですね。



―今期から家づくりの新しい考え方の提案を始めるとか。
私たちもお客様も「家づくり」に対する考え方を、出来るだけシンプルにしようとの発想から、「家学(いえがく)」「家展(かてん)」「家画(いえかく)」という3つのカテゴリーを設けました。
「家学」は、お客様に家づくりに関する知識を身に付けていただくこと。これまでオクタスで行っていた「賢い家づくり勉強会」などの各種セミナーです。家づくりには、「大変」「やることがたくさんある」というイメージがありますが、きちんと流れを整理すれば、後はそのお客様に合った流れに沿って進めていくだけで、難しいことではありません。ですから私たちに必要なのは、お客様に家を売り込むことではなく、その流れとデザイン、そして性能・構造の裏付けをしっかりとご提案することだと思っています。
「家展」には、完成見学会とオーナーズハウスの2つの柱があります。オーナーズハウスは、すでに施主様がお住まいの家を見学してもらうもので、家のデザインや間取りだけでなく、そこで暮らすご家族の息遣いや住み心地まで体感してもらえます。もちろん、オーナーさんと直接話をして、オクタスの家づくりについて聞いてもらうことも出来ます。そこでは、私たちとオーナー様がどのような家づくりを行ったかという「ストーリー」を追体験していただくことが目的です。
「家画」は、文字通り「家づくりを計画すること」。この中で大事なのは、(家づくりに必要な)「お金」です。私たちは、お客様にプランをご提案する時にそこをしっかり押さえた上で「予算ありき」のお話をさせていただきます。そうしないと、予算と要望のバランスが取れずに、結果としてお客様にとって「楽しくない」「幸せになれない」家づくりになってしまいます。
―今後は、2020年に新築住宅の省エネ基準の適合義務化も控えていますが。
オクタスでは、2012年の創業当初から2020年の省エネ基準をクリア出来る家づくりに取り組んでいます。ですから、現在は「その次」や「次の次」の基準を見据えた高性能の住まいをご提案していかなければと思っています。
また、基準をクリアする性能を追い求めるだけでなく、「なぜそれが必要なのか?」をしっかりと考えておくことも重要です。それは、家がお客様の大切な「資産」だから。例えば、2020年までは基準を満たしていない家を売っても問題はありません。しかし、義務化後に基準に達していない住宅は一気に資産価値が下がることが予想されます。そうしたことが分かっていながら、基準以下の性能の住まいを建てることは、お客様のことを何も考えていないのと同じですから。

―4期目、そして、その先に向けた動きはありますか?
3期目に「未来のためのデザイン」「みんなの笑顔がすべて」というスローガンが、社内で自然発生的に生まれました。
私たちの仕事は、もちろん「家を売る、建てる」ことですが、それだけではなく、その家にお客様の求める価値を創造していかなければ意味がない。それが「未来のためのデザイン」です。また、「みんなの笑顔がすべて」というのは、施主様だけでなくそのご両親やご親戚まで含めた方々のことも深く考え、「オクタスに頼んで良かった」と思っていただけるような提案をしていく必要があるとの想いから生まれた言葉です。さらに、「みんな」には私たちの家づくりを支えてくれる協力会社・関連会社の方々も含まれています。
これらを実践していくためには、単にオーナー様の要望をすべて聞くのではなく、「なぜその要望を叶えたいのか」という芯の部分を(オーナー様から)聞き取ることが重要です。その上で、それを叶える方法は別にあるかもしれないという提案をしていくことが、オクタスのやり方だと思っています。私たちは決してお客様の“御用聞き”にならず、住宅のプロとして適切なアドバイスをする必要があります。時には言いづらいこともありますが、それが「必ずお客様の笑顔につながる」という信念があれば言えると思います。
こうしたことを一つずつ積み重ねていくことが、オクタスが目指す「家づくりで後悔する人のいない社会」の実現につながっていくと信じています。それはある意味、「住宅業界を変える」ということ。ただ、これまでの家づくりの否定ではありません。私たち業者もお客様も「(家づくりは)こうでなければならない」という画一的な考えを捨て、「多様な考え方や価値観」を許容できる家づくりをした方がいいのではないかというもの。お客様自身が家づくりについて学び、多くの価値観の中から自分たちに合うものを選んでいただくというやり方を、これからのスタンダードにしていきたいと思っています。
もちろん、これは到底オクタスだけで出来るものではありません。こうした考え方を持つ、いわば同じベクトルを向いた“同志”とも言える住宅会社は、熊本にもたくさんあります。そうした仲間たちを増やし、お客様にとって選択肢となる情報を少しでも多く発信できるように、今期はこれらの会社の代表者と私が対談を行って、各社が「どんな家づくりを目指しているのか」を語ってもらい、それをホームページにアップしていこうと思います。お客様には、そこで発信されている各社の「想い」を比べて、ご自分に合う住宅会社探しの参考にしてほしいですね。もちろん、私自身もその中で各社から学ばせていただく部分がたくさんあると思うので、楽しみにしています。
